Shared Space シェアド・スペースの研究(ドイツ、オランダなど/2009-)

–¼Ì–¢Ý’è-2 シェアドスペースは、オランダの交通計画の専門家であるハンス・モンダーマンによって提案された新しい交通計画の発想で、オランダ北部のハーレンやドラフテンにおいて2002年から実験的に整備されている。具体的には、車道と歩道を分離する従来の考え方ではなく、道路標識や車止め、交通ルールを最小限に減らしながら、交通と滞留の機能をひとつの道路平面のなかで一緒に捉えようとする画期的な計画である。交通ルールを強化しても、交通事故の減少には限界があるという考え方から、ドライバーと歩行者の人間的なアイコンタクトこそが安全の前提であるという発想は極めて先駆的で、かつ納得する面もあるが、交通量の多い道路で可能なのか、そこまで人間を信頼できるのか、という疑問もある。
 EUは、このシェアドスペースをモデルプロジェクトとして位置づけ、2004年から5年間オランダ、ベルギー、ドイツ、デンマーク、イギリスの5カ国7自治体はその補助金を得て整備を行った。ドイツで唯一モデルプロジェクトを実施したのは、ニーダーザクセン州の人口1万3千人のボームテであり、比較的大型車両が多い交差点を住民参加によって合意形成しながら整備した。その後、ドイツのハンブルクでは「共用道路(ゲマインシャフト・シュトラーセ)」という名称で、この考え方の展開を図っている。
 ボンエルフやゾーン30というこれまでの歩行者優先の交通計画の実践とその学習があってはじめて、次のステップとしてシェアドスペースが意味を持つのではないかと考えている。したがって日本への適用はかなり難しいが、一方ヨーロッパでの展開は注視していきたい。