二子玉川駅前再開発における住民による再開発計画代替案作成の支援(東京都世田谷区/2009)

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 二子玉川駅周辺で再開発事業が進んでいる中で、東第二地区の事業計画に疑問を持った周辺住民が、事業者案に対する代替案作成をすることになった。そこで周辺住民とのワークショップを行い住民の意向を反映させた、5つの基本的な考え方を明らかにし、代替案2案を作成した。さらに事業者案と代替案の比較検討をわかりやすくするために、図面や各種データを整理すると共に、地域環境に適したボリューム、用途内容を検討するために、1/1000模型を制作し、比較検討を行い、住民案を制作し、世田谷区へ提言を行った。
 近年、都市再開発事業は曲がり角を迎えている。人口減少や安定成長が求められる中で、従来のような大型再開発ではなく、適正な規模の身の丈再開発が求められている。もちろん適正規模を見つけることは大変難しいことではあるが、一方で、空家や空店舗、空事務所が生まれている現実の中で、周辺環境への配慮や住民との合意形成をふまえての再開発事業は必須である。
 欧米ではすでに、住民との合意形成のために複数案を提示することが一般的になっている。最初から事業者が複数案を提示しないケースでも、途中段階で行政が資金提供をしたり、NPOが技術提供することによって住民が主体的に代替案を作成すケースも多い。それに対して、日本では事業者が複数案提示することはほとんどなく、また住民が主体的に代替案を作成することも大変難しい。よりスムーズな合意形成を進めるためには、三案程度の複数案の検討が必要である。また同時に、その複数案を平等に関係者が比較検討し、議論できる協議の場も必要である。この水平な協議の場も日本ではほとんど見られない。
 二子玉川の再開発事業では、住民が代替案を作成することを研究室として支援した。しかし、その提案を事業者、世田谷区、東京都等の関係者と自由に創造的に議論できる「水平協議の場」は残念ながら設定できなかった。この貴重な体験を忘れずに、今後の研究と実践に生かして行きたい。

▶プロジェクトデータ
 ・所在地:東京都世田谷区玉川2丁目
 ・設計年:2009年
 ・委託者:二子玉川東地区住民まちづくり協議会
 ・プロジェクト内容:二子玉川駅前再開発における再開発代替案の作成支援